2025年– date –
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【 9|音にならない音色】
娘は、ギターを始めて2年くらいになる。 最近は、スマホでライブ配信をしながら歌っている。 少しずつ、聴いてくれる人も増えているみたい。 だけど、本人はよく 「自分なんてまだまだ…」って言っている。 プロの音源ばかりを聴いているし、 自分と同じよ... -
【 8|ただいま。そして、いってきます 】
ただいま。 約一年半ぶりのフィリピン。 前回は、就労ビザをいつでも取得できる準備をして、 日本に一時帰国した。 そして今回は、いわゆる「永住権」と呼ばれる クォータービザの取得へ。 ようやく、腰を据える準備が整いはじめた。 昨日は朝からメディカ... -
【 7|持っていくもの、置いていくもの】
10年前、独立を決めたとき。 僕は、全部を手放すために旅に出た。 そして今度は、持っていくものを選ぶ旅。 当時は、子どもたちと一緒に 日本中を車でまわった。 飛行機ならすぐに着く場所も、あえて車で。 鹿児島の先まで、青森の先まで。 沖縄と北海道は... -
【 6|想いを、カタチに】
誰かの想いが込められたものって、 どうしてあんなに、やさしく響くんだろう。 料理でも、手紙でも、部屋のしつらえでも。 そこに“心”が宿っているものは、すぐにわかる。 たぶん僕らの感覚は、言葉じゃなくても、 ちゃんと受け取る力を持っている。 でも─... -
【 5|君がいたから、折れずにいられた】
「俺は、お父さんみたいに何でもできるわけじゃない!」 ゲームばかりしていた息子を叱った中学1年生の時。 彼は振り絞るように、そう言った。 それはきっと、精一杯の抵抗であり、 精一杯の叫びだったんだと思う。 僕のことを、なんでもそつなくこなす 「... -
【 4|記憶の中の手間】
小さい頃、祖父母の家に行くと、 おばあが縁側で「ぜんまい」を干していた。 新聞紙を敷いて、その上に丁寧に並べて、 夕方になると、ひとつひとつ向きを変える。 特別な言葉はなかったけれど、 その背中には、何か伝わってくるものがあった。 うちの親父... -
【 3|“手間”の置き場】
移住のことは、何度か考えてきた。 でも、コロナがあったり、 去年は娘のことがあったりして、 そのたびに「今じゃない理由」があった。 日本は、安全で、便利で、快適だ。 正直、このままでも困ることは何もない。 「どうしても行かなくてはならない理由... -
【 2|娘の選択と、静かな変化】
「あわい(間)」にいるのは、 自分だけだと思っていたけれど、 もしかしたら娘もずっと その“あわい”を生きていたのかもしれない。 去年の春、娘がぽつりと言った。 「4月から、学校に行こうと思う。」 中学生になって担任との相性や 周囲との距離感もあ... -
【 1|あわい(間)に身を置く】
この1年間、SNSもブログも何も書かなかった。 というよりも、ほとんどSNSを開くことがなかった。 ただなんとなく目に入ってくる広告が、 ノイズと感じるようになったり、 必要不要の選択をすることをしないまま受け入れる、 大量の情報に酔ってしまったと...
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